参加者レポート
参加者の感想・体験レポートです。
1日体験ワークショップ④
演劇ワークショップ 世界と趣向 ー歌舞伎作者になってみよう!
講師:木ノ下裕一(木ノ下歌舞伎)
実施日:2024年7月23日(火)
レポート執筆者:加藤 音(18歳)
本講座では「歌舞伎作者が当時どのように脚本を作成していたか」を追体験することを目的に、脚本の書き方や基礎知識を用いて、各々が実際に脚本のあらすじを書きました。
脚本を書く上で最も重要なこと、それは〝世界〟を定めることだと木ノ下さんは言います。〝世界〟とは、よく知られている既存の物語の設定のことで、私は〝世界〟を現代人に共通する認識だと解釈しました。〝世界〟が皆に知られていることで、物語の説明が必要がなく、物語の読み手は世界観に入りやすくなります。また、古典といった既存の作品の〝世界〟を借りて物語を作ることで、読み手は、その作品のどこをアレンジしたのかといった作者の個性や解釈をすぐに理解することができるのです。
若者の古典離れが顕著である今日において、この課題は古典の〝世界〟が通用しなくなっている現状が影響を与えていると、私は考えます。古典に限らず、〝世界〟を知らない・分からない作品は、読み手につまらないという感情を抱かせます。そこで私は、木ノ下歌舞伎を見ることが、若者の古典離れを解消する一つの方法なのではないかと考えました。木ノ下歌舞伎は、9月から東京芸術劇場にて上演される『三人吉三廓初買』を初めとして、様々な古典歌舞伎の〝世界〟を題材に、原作を侵すことなく、現代に即した作品を多く手掛けています。そのため、多くの人が木ノ下歌舞伎を観賞することで、現代では消滅しかけている古典の〝世界〟が復活するのではないでしょうか。
私は日本の伝統芸能・古典芸能に興味があり、将来はこれらに携わる職に就きたいと思っています。若者の古典離れが顕著である現在において、日本の伝統芸能・古典芸能の衰退を阻止するために。木ノ下さんの講座で培った能力を用いて、古典の〝世界〟を現代に復活するべく、文芸活動にも挑戦していきたいと思います。